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第51話 ブティックでの洗礼④

Auteur: 花柳響
last update Dernière mise à jour: 2026-01-13 18:01:09

「なぜ言い返さない。あんな女に言われっぱなしで、お前は平気なのか? それとも、あんなゴミのような言葉を、事実だと認めているのか」

「だって……彼女の言うことは、間違っていません。私は、あなたに買われただけの、ただの家政婦ですから……。あんな高価なドレス、似合うはずが……」

「黙れ」

 言葉は、彼の唇によって強引に塞がれた。

 それは口づけというにはあまりに暴力的で、痛みを伴う略奪だった。

 私の舌を執拗に絡め取り、酸素を奪い、頭の中を彼の匂い――高級な煙草と、冷ややかなシトラスの香り――だけで塗りつぶしていく。

 抵抗しようとする手首は、彼の鉄のような掌によってシートに縫い付けられ、身動きが取れない。

「ん……っ、んぅ……」

 呼吸が苦しくて、目尻から涙がこぼれた。けれど彼は、私の涙を指で拭う代わりに、その雫を舌で掬い取り、より深く、奥へと侵入してくる。

 ようやく唇が離れたとき、私は酸欠で視界がチカチカと火花を散らしていた。

「お前は俺のものだ。俺が価値があると言えば、それが絶対なんだ。誰にも、指一本触れさせないし、言葉一つで傷つくことも許さない。……あの女の言葉など、二度と脳裏に浮かべるな。……わかったか?」

 征也の指が、ドレスの襟元を乱暴に押し広げた。

 今朝、彼自身が刻みつけた、赤紫色の痕。

 彼はそれを満足げに見つめると、わざと爪を立ててその上を強くなぞった。

「あ……っ!」

 鋭い刺激に、背筋を電流が駆け抜ける。

 びくりと体が跳ね、下腹部が熱く、甘く疼き出した。

 エリカに浴びせられた罵倒の痛みさえ、彼の与える鮮烈な刺激によって上書きされ、塗り替えられていく。

 守られたことへの喜びと、さらに深く、出口のない場所へ閉じ込められた恐怖。

 私は、彼から与えられる屈辱的な寵愛から、もう二度と逃げられないことを悟り、どうしようもない昂ぶりに身を
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